漁業就業者育成センター
福井の漁業
知っておきたい福井の漁業
ひとくちに「漁師の仕事」といっても、その仕事内容はさまざまです。そこで福井県の漁師が携わっている代表的な仕事をピックアップして紹介します。福井の漁業を知れば、漁師の仕事をもっと身近に感じられるはずです。
底曳網漁業
海底にいる越前がに(ズワイガニ)や甘えび(ホッコクアカエビ)をはじめ、カレイ類・ハタハタ・メギス・ホタルイカなどを網で引いて獲る漁業です。最近は、これらの魚類が減っているので、一年のうち獲る期間を短くしたり、保護区域を設けたりして計画的な漁業を行っています。
定置網漁業
回遊する魚群を、岸から沖に向けて張った網の中に導き入れて獲る漁業です。主に、ブリやサバ・タイ・イワシ・アジなどを獲ります。最近は、観光定置網といって実際に獲るところ(網起こし)を体験させてくれる組合もあります。
いか釣り漁業
夜、集魚灯の明りで主にスルメイカを集め、船上から自動いか釣機でひっかけて獲る漁業です。本県沿岸だけでなく、遠く北海道から九州方面、さらにロシア海域など外国の海まで出漁する船もあります。
刺網漁業
長さ50m、幅2mの網を魚の通り道に壁のように仕掛け、その網に魚をからませて獲る漁業です。1隻で、25枚(反)前後の刺網を、海底近くに設置しておき、ヒラメ・カレイ・アマダイ・サザエ等を漁獲します。
釣り漁業
釣り漁業は、大きく分けて、「一本釣り」と「延縄」があります。「一本釣り」は竿を使わない手釣りが一般的ですが、本県では竿を使ってハマチ・ヒラメ・メバル等を釣っています。また、「延縄」は約500mの幹縄に100~150本の釣針をつけたものを海中に設置しておき、獲る漁業です。釣り漁業では主に、アジ・サバ・タイ・メバル・アマダイ・タチウオ・イシナギ等を獲ります。
養殖業
本県の若狭地方はリアス式海岸のため養殖に適した内湾が多く点在します。古くから知られているのは、小浜湾のカキや真珠の養殖。最近ではトラフグ・マダイなどの魚類養殖が盛んになってきています。
- ・魚類養殖
- 養殖は海に数台から十数台連結した「いけす」で行います。いけすは円形と正方形が多く使われます。潮通しを良くするため、連結するいけすの間隔を広くします。養殖している魚種は、トラフグ・マダイの他、ヒラメ・ブリ・シマアジなどです。
- ・真珠養殖
- 真珠養殖は、海上に張ったロープにパールネットを吊り下げて行います。パールネットには、核の入っているアコヤ貝を32~36個並べます。
- ・カキ養殖
- カキ養殖に使用するいかだは、猛宗竹を組合せたものです。いかだ1台には吊線1本当りコレクター(種ガキが付いたホタテ貝殻)を7~8枚取付けたものを300本垂らします。春に本吊を行い、晩秋から冬にかけて収穫します。
栽培漁業
栽培漁業とは、人工的に生産した魚介類の種苗を中間育成し、生息適地に放流して適切な資源管理を行い、大きくして漁獲しようとするものです。一般に魚介類は極めて多くの卵を産みますが、大部分が初期の間に食べられてしまうので、この時期に人間の手で保護育成し資源を増やそうとするものです。本県の栽培漁業センターは「福井の海」を豊かにするための栽培漁業推進の拠点です。マダイ・クロダイ・ヒラメ・アワビ・クルマエビなどの種苗の生産・放流効果などの試験研究のほか、大量に生産した種苗を漁業者の手でさらに大きくして放流するなど、漁業資源の増大に努めています。
福井県における漁法の組み合わせ
越前町の一例
冬季の越前がに漁の乗組員(雇用)を中心に、春~秋はイカ釣り漁業と採貝藻業を組み合わせています。
美浜町の一例
定置網の乗組員(雇用)を中心に、春~秋は刺網・釣り・採貝藻漁業を組み合わせています。
- 季節によって漁獲される魚が変わるため、沿岸漁業を行っている漁業者の多くが、1年の中で複数の漁法を組み合わせて漁業を営んでいます。
- 地域ごとで漁獲される魚や漁期が決まっているため、組み合わせも自然と決まっています。
- 何を狙うのが一番効率的に収入に結びつくかを判断しながら、漁法を選択しています。